今後の電力需要はどうなる？

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電力需要予測に影響を
及ぼすもの

電力需要に影響を与える主な要因として、家庭用電力の場合は消費世帯の人口や電化製品のエネルギー消費量などが挙げられます。また、業務用・産業用の電力においては、データセンター・工場の増設や新設の件数が大きく影響します。

人口減少・節電の進展

経済産業省資源エネルギー庁の資料によれば、家庭用電力の需要は、人口の減少や個々人の省エネ意識の向上、家電製品の省エネ性能の進展といった要因によって、長期的に減少すると予測されています。

新型家電はエネルギー効率に優れ、家庭における電力消費量を抑制する効果があります。加えて、人口の減少は世帯ごとのエネルギー消費量の低下につながります。こうした背景から、家庭用電力は2034年度まで減少傾向となる見通しです。

産業用需要の増加（データセンター・半導体工場の新増設）

一方で、産業用部門における電力需要は、データセンターや半導体工場の新増設などによって増加すると予測されています。デジタル社会の発展に伴うデータ流通量の爆発的な増加や、経済安全保障などの観点から、現在、国内にデータセンターや半導体工場を設置する動きが活発化しています。

これらの施設は、一般的な工場と比較して大きく電力を消費する特性があるため、産業分野での電力消費量を大きく押し上げる要因と言えるでしょう。

エリア別の産業構造変化

電力需要の見通しでは、産業用需要の増加が特定地域に限らず全国的に広がる傾向が見られます。従来は東京、中部、関西の大都市圏で情報通信産業が集積していましたが、近年では北海道や中国エリアなどでもデータセンターの設置計画が進んでいます。

また、半導体工場の新増設も地域分散の動きが見られることから、これまで製造拠点が少なかった地域でも新たな電力需要が生じる可能性があります。こうした全国各地での産業構造の変化は、それぞれのエリアにおける電力需給バランスに影響を与えることが予想されます。

エリアごとの送電・変電設備の整備状況

データセンターや半導体工場などの新増設は、周辺エリアの送電線や変電所といった電力インフラの整備状況に左右されます。これらの施設は十分な送電網がなければ計画通りの稼働が困難であり、既存の変電所の容量不足や新設変電所の建設遅延などが発生すると供給の遅延を招く可能性があります。

このため、今後の電力需要予測では、各地域の開発計画だけでなく、対応する設備整備のスケジュールも考慮することが重要と言えるでしょう。

2030年の電力需要の見通し

国のエネルギー基本計画では、2030年度の電力需要は経済成長や省エネ、EV普及を総合的に考慮し、約9,300億kWh前後になると予測されています。また、短期～中期予測では、人口減少や省エネによる抑制要因とデータセンター・半導体工場の新増設に伴う増加要因が相殺されることで、緩やかな増加または横ばい傾向となる予測です。

さらに、直近の予測では、2034年度の値として約8,500～8,600億kWh程度となる試算が発表されています。

2050年の電力需要の見通し

資源エネルギー庁や有識者会議の試算によると、カーボンニュートラルの実現に向けた電化率の大幅な上昇により、電力需要は1,200～1,500TWh程度（現在の約1.3～1.5倍）に達すると見られており、2050年の電力需要は現状より大きく増加するという見立てです。また、国際エネルギー機関（IEA）においても、日本を含む主要国での電力需要の増加が予測されています。

一方で、経済成長率や技術革新、再生可能エネルギーの普及速度など、多くの不確定要素があることから政府や研究機関の予測では1,000TWh台前半から1,500TWh超えまで、幅広いシナリオが提示されています。

今後の電力需要についての
まとめ

近年は人口減少や省エネ化による電力需要の抑制要因がある一方で、データセンターや半導体工場の新増設傾向によって、全体的には増加傾向にあると言えるでしょう。特に産業分野では、エリアごとの送電設備の整備状況などによって、電力需要の伸びや規模が変動することが予測されます。

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