エッジAIを用いた電力予測と分散処理による需給予測の仕組み、メリット、そして導入手順について、初心者の方にも分かりやすく解説します。
エッジAIとは、データをクラウドに送るのではなく、現場にある端末(エッジデバイス)の中でAI処理を行う技術のことです。
従来の「クラウドAI」では、スマートメーターなどのデータを一度サーバーに集めてから予測を行っていました。しかし、エッジAIによる電力予測では、各デバイスが30分ごとに最新の電力消費量や気象情報を取り込み、その場で推論(予測)を行います。これにより、刻々と変化する状況に合わせて、リアルタイムに精度の高い予測値を算出することが可能です。
また、これは「分散処理」の仕組みでもあります。中央サーバーで一括処理するのではなく、個々のデバイスが自律的に判断を行う分散AI(DAI)の形をとることで、システム全体で協調しながら需給バランスを調整することが可能です。
現場で即座に予測を行うこの仕組みには、主に以下の3つのメリットがあります。
データを遠くのサーバーに送る通信時間が不要なため、リアルタイムな処理が可能です。急激な天候変化などで電力の需給バランスが崩れそうなときでも、遅延なく即座に対応できます。
すべての生データをクラウドに送り続けると通信量が膨大になります。エッジAIなら、処理結果(予測データ)だけを送信すればよいため、通信コストを大幅に削減できます。また、ネットワークの混雑も防ぐことが可能です。
工場の稼働データや、家庭での生活パターンといった機密情報を外部に出さず、端末内で処理を完結できるため、情報漏洩のリスクを最小限に抑えることができます。
これからエッジAIを導入する場合、一般的に以下の手順で進めます。
まず、「何を予測したいのか」「どの程度のリアルタイム性が必要か」を決めます。目的によって必要なセンサーやAIモデルのスペックが変わるため、非常に重要な工程です。
いきなり大規模に開発するのではなく、まずは小規模にデータを集め、「本当にAIで予測できそうか」を検証します。
AIモデルを作成し、現場のデバイス(マイコンなど)でもスムーズに動くように、モデルの軽量化(最適化)を行います。
デバイスにAIを組み込み、実際の現場に設置します。運用開始後も予測精度を監視し、必要に応じてモデルの更新(再学習)を行っていきます。
エッジAIと分散処理を組み合わせることで、通信環境に依存しない、災害にも強い次世代の電力システムを構築することが可能になります。
電力需要予測システムは、さまざまな場面で活用されるものです。ここでは「小売電気事業者向け」「工場向け」「スマートハウス・スマートビル向け」と業種ごとにおすすめの電力需要予測システムを紹介しています。

電力売買を効果的に行える
電力業務特化型の電力需要予測システム。自動で再学習を行うAIモデルの高精度な予測により、電力売買の効果的なタイミングが図れる。
インバランスコストを削減
短時間での予測が可能なため、一日前入札当日の新鮮なデータを反映させた高精度の予測実施。より正確な予測でインバランスコストを効果的に削減可能。

自動でピークカットを実施
工場向け電力需要予測システムZEBLAで、設備の電力消費データを監視・分析。電力使用の無駄や異常を検知し、自動でピークカットが行える。
生産計画に影響しない節電
電力不足時は重要度の低い機器を間引き、さらに不足すれば発電機を稼働するため、生産計画に影響することなく電力平準化を図ることが可能。

効率的な再エネの需給管理
全国の気象観測網を活用した電力需要・発電量予測を提供。太陽光・風力発電の変動を精度高く把握可能なため、再生可能エネルギーの需給管理を調整できる。
電力不足のリスクを低減
気象による予測誤差を抑えることで、スマートハウス・ビルにおける電力不足のリスクを低減。また、自家消費・売電など余剰電力を適切なタイミングで活用可能になる。