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VPPにおける蓄電池の最適化

VPPにおける蓄電池の最適化とは

VPPは分散型エネルギーをまとめて制御する仕組み

VPP(バーチャルパワープラント:Virtual Power Plant)は「仮想発電所」と訳されます。太陽電池や蓄電池、電気自動車(EV)などのリソースを「リソースアグリゲータ」と呼ばれる人や企業により遠隔・統合制御を行い、まるでひとつの発電所のように機能させる仕組みをいいます。

この仕組みは、各地域に分散したエネルギーリソースを活用することで、電力の需要・共有バランスを調整できる点が特徴といえます。

蓄電池は電力をためる・出すことで需給調整を担う

蓄電池は電力をためられ、さらに必要な時にその電力を使用できる装置であり、電気代の削減や停電時の備えとして利用されています。例えば電力が余る時間帯に充電して電力を貯め、電力が不足する時間帯に放電して供給するといった形で、需給調整の役割を果たしています。

つまり蓄電池は単に電気をためておくための装置ではなく、電力の変動を吸収できる調整用のリソースであるといえます。

最適化とは発電量・需要・市場価格に合わせて充放電を制御すること

「VPPにおける蓄電池の最適化」とは、発電予測や需要予測、市場価格の動きに合わせて、蓄電池への充電と放電のタイミングを最も有利になるように制御を行うことです。例として、電力価格が安いタイミングで充電し、高い時間には放電するようにすることで、コストの削減や収益向上が期待できます。

VPPで蓄電池を最適化する仕組み

発電量や電力需要を予測して充放電を判断する

VPPでは、太陽光などを用いた発電量や、工場や家庭における電力需要を組み合わせ、蓄電池の充電・放電について事前に判断を行います。電力が余りそうな時間帯は充電を行い、足りなくなると予想される時間帯には放電することによって、需給のバランスを整えていきます。この予測精度が高ければ高いほど、無駄な充放電を防げます。

デマンドレスポンスに合わせて蓄電池を制御する

デマンドレスポンス(DR)とは、系統の需給ひっ迫時に需要を抑制(下げDR)したり、再エネ余剰時に需要の創出(上げDR)を行ったりする仕組みを指します。VPPにおいては、これらの指令に応じて蓄電池を連動させていきます。

例えば、供給が過剰になっている「上げDR」では蓄電池の充電を行って余剰電力を吸収し、供給不足時の「下げDR」では蓄電池からの放電を行い、需要家に無理な節電を強いることなく系統からの電力購入をカットできます。

AIやIoTを活用して複数の蓄電池を統合制御する

VPPを運用するにあたっては、高度なデジタル技術を用いて膨大なデータをリアルタイムで処理することが求められます。例えば、スマートメーターの活用すること電力消費量を高頻度・多種類に取得でき、取得されたデータをAIが解析。翌日の日射量や需要に関する予測と照らし合わせ、どの蓄電池をどのタイミングで放電させるか、といった制御を自動で行えるようになります。

電力市場や需給調整市場に応じて運用を切り替える

蓄電池の経済価値を最大化するには、どの電力市場で運用するのかを状況に応じて切り替える制御がポイントとなります。価格差を利用して利益を得る「卸電力市場」や、電力の安定供給に欠かせない調整力を取引する「需給調整市場」の状況の監視を行います。

VPPの場合、このような複数の市場価値や需給をリアルタイムに比較・分析し、放電して売る・充電して待つ・調整力として確保するといった判断を自動で行うことによって、収益と系統貢献の両立を目指していきます。

VPPに蓄電池を活用するメリット

再生可能エネルギーを無駄なく活用できる

VPPに蓄電池を活用すると、太陽光など発電量が変化しやすい再生可能エネルギーの余剰電力を貯められます。この点から、発電が多い時間には充電を行い、需要が高い時間には放電を行うことで無駄なくエネルギーを使用できます。その結果、再生可能エネルギーを作るだけではなく、必要な時に必要なだけ使える形に変えられます。

ピークカットにより電力コストを抑えられる

電力を最も使用するピーク時間帯に、電力需要を減らす制御を指す「ピークカット」が可能な点も、VPPに蓄電池を活用するメリットのひとつです。例えば、施設の電力需要が急増する時間帯などに蓄電池から放電を行うことによって、電力使用量の削減を行えます。この点から、電力の基本料金を決める「最大需要電力」を低減させられるために電気料金を抑えられることに加え、系統全体の負担軽減や電力不足の回避にも貢献します。

DR参加や市場取引による収益化が期待できる

VPPを通じて卸電力市場や需要調整市場にアクセスすることで、系統がひっ迫している時に調整力を提供し、収益に繋げられます。このように、自家消費による節電メリットが得られる点に加えて収益化が期待できるため、蓄電池の初期投資の回収期間も大幅な短縮が期待できます。

停電時の非常用電源としてBCP対策につながる

蓄電池は平常時の運用にのみ活用するのではなく、停電時や災害発生時の非常用電源としても活用できます。非常時には自動電源に切り替わることで、オフィスや工場内にある重要な設備に対して電力の供給を行います。VPPの制御を行うことで一定の非常用容量を残しつつ運用が行われるため、いざというときのバッテリー切れを防ぎながら、企業の事業継続性を高められます。

VPPで蓄電池を最適化する際の課題

蓄電池の導入コストや劣化リスクを考慮する必要がある

VPPで蓄電池を使用するにあたっては、導入費用と収益のバランスを検討する必要があります。また、導入コストだけではなく、蓄電池は充放電を繰り返すたびに劣化が進むため、劣化のリスクも考慮が必要です。この点から、短期の市場収益だけではなく、劣化コストや交換時期なども含めた形で考えることが重要です。特に、制度の変更や市場価格に変動があると、もともとの投資回収の前提が崩れやすい点が課題といえます。

制御システムやアグリゲーター選びが重要になる

VPPでは、遠隔から蓄電池を安定的に制御できるシステムと、複数のリソースの運用に対応ができるアグリゲーターのスキルが成果に影響してきます。例えば機器の応答差や通信遅延、制御仕様などにおいて違いがあるため、単に接続できるだけでは不十分といえます。

具体的なポイントとしては、対応可能な機器の幅広さや監視精度、異常発生時の切り分けなどを確認しつつ選定を行うことが大切です。

制度・市場ルールの変化に対応する必要がある

収益性は、電力市場やDR制度、計算ルールなどの制度設計に大きく左右される面があります。そのため、市場参加への要件や評価方法が変更された場合には、運用方法や計測・通信要件も変わってきます。このような点から、VPPにおいて蓄電池を最適化するにあたっては、現行の制度やルールに加えて、制度改定などに対しても柔軟に運用を切り替えていくなどの体制が求められます。

VPPと蓄電池最適化の今後

EVや家庭用蓄電池もVPPリソースとして活用が進む

事務所や工場の蓄電池のみではなく、EV(電気自動車)や家庭用蓄電池までVPPリソースとしての活用が進むと見込まれています。活用される台数が増えるほど、地域全体において調整が可能な電力量が大きくなるため、再生可能エネルギーをより活用できるようになる、需要調整力が高まるなどのメリットが期待できます。

AI制御により蓄電池運用の高度化が期待される

今後の蓄電池最適化は、進化を続けるAIにより、さらに高度が進むと考えられます。天候や電力需要、市場価格の変動などに加えて、個々の機器における劣化状況といったように複雑な条件をAIが分析を実施。充放電計画の精度を高められます。

企業は電力を使う側から調整力を提供する側へ変わる

VPPが普及すると、企業は単に電力を消費するだけではなく、蓄電池や制御設備を活用することで、系統に調整力を提供する存在になります。そのため、企業にとっては従来の「電力コストを抑える」という受け身の姿勢ではなく、エネルギーを能動的に管理することによって新たな収益源や環境価値を生み出し、企業価値の向上にも繋げられます。

電力管理を効率化する
業種別電力需要予測システム3選

電力需要予測システムは、さまざまな場面で活用されるものです。ここでは「小売電気事業者向け」「工場向け」「スマートハウス・スマートビル向け」と業種ごとにおすすめの電力需要予測システムを紹介しています。

小売電気事業者向け
一日前市場当日の予測で
インバランスコストを削減
富士通鹿児島
インフォネット
富士通鹿児島インフォネット公式HP
引用元:富士通鹿児島インフォネット公式HP
(https://global.fujitsu/ja-jp/subsidiaries/kfn/services/list/demandforecast)
小売電気事業者向けの
導入メリット

電力売買を効果的に行える

電力業務特化型の電力需要予測システム。自動で再学習を行うAIモデルの高精度な予測により、電力売買の効果的なタイミングが図れる。

インバランスコストを削減

短時間での予測が可能なため、一日前入札当日の新鮮なデータを反映させた高精度の予測実施。より正確な予測でインバランスコストを効果的に削減可能。

工場向け
製造現場の生産計画と
連動し電力コストを削減
富士電機
富士電機公式HP
引用元:富士電機公式HP
(https://www.fujielectric.co.jp/about/example/detail/solution_power_prediction_system.html)
工場に
向いているポイント

自動でピークカットを実施

工場向け電力需要予測システムZEBLAで、設備の電力消費データを監視・分析。電力使用の無駄や異常を検知し、自動でピークカットが行える。

生産計画に影響しない節電

電力不足時は重要度の低い機器を間引き、さらに不足すれば発電機を稼働するため、生産計画に影響することなく電力平準化を図ることが可能。

スマートハウス・
スマートビル向け
蓄電の活用と電力管理
気象データで支援
ウェザーニューズ
ウェザーニューズ公式HP
     
引用元:ウェザーニューズ公式HP
(https://wxtech.weathernews.com/industries/energy/)
スマートハウス・ビルに
向いているポイント

効率的な再エネの需給管理

全国の気象観測網を活用した電力需要・発電量予測を提供。太陽光・風力発電の変動を精度高く把握可能なため、再生可能エネルギーの需給管理を調整できる。

電力不足のリスクを低減

気象による予測誤差を抑えることで、スマートハウス・ビルにおける電力不足のリスクを低減。また、自家消費・売電など余剰電力を適切なタイミングで活用可能になる。