発電量のリアルタイム予測について紹介しています。その仕組みや活用方法についてまとめていますので、発電量予測の導入を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
「リアルタイム表示」と「発電量予測」は同じものではなく区別されています。「リアルタイム表示」は、スマートメーターなどの計測値を用いて、「現在どれくらい発電しているか」を可視化することです。また発電量予測は、気象データやAIを用いて、数十分から数時間後にどれだけ発電できるかを推定することをいいます。これらを混同しないように注意が必要であるといえます。
発電量予測の土台となるのは、「気象データ(日射量や気温、風速など)」と、「設備データ(パネル容量、設置角度、方位など)」となります。これらのデータに加えその発電所の「過去の発電実績」のデータを組み合わせて予測値の算出を行っていきます。
太陽光の出力は、日射量にほぼ比例して増減しますが、もし気温が高すぎた場合にはパネルの変換効率が低下します。そのため、真夏は日射があったとしても出力が落ちる、という特性を持っています。そのほか、周辺の建物や山の影、パネル表面の経年劣化といった設備条件も、出力を引き下げることにつながります。
精度の高い予測を行うには、単に天気予報のみではなく現場特有の条件を踏まえることが必要になります。
日本における電力取引市場(JEPX)や需給調整のルールは「30分単位」で動いているため、発電量の予測も30分単位で行われるのが標準であるといえます。リアルタイム予測では、数時間先までの30分ごとの発電力について、頻繁に計算のし直しが行われています。この点から、急に雲がかかるなどして出力が低下したとしても、次の30分の取引や制御により間に合うように、高い精度での見通しを立てられます。
時間軸により、予測の目的と難しさが変わってきます。
「当日予測」は、直近の雲の流れや実績値を重視するものであり、急な出力変動が発生した際に即時対応に用いられます。「翌日予測」は一般的な数値気象モデルが主軸となっており、前日の市場入札や計画提出に用いられています。そして「数日先予測」は1週間を通じた大きな天候トレンドを把握し、発電所のメンテナンス計画などを立てるために用いられています。
気象予測には必ず「不確実性(誤差)」が含まれます。この点から、1つの予測値のみを見るのではなく、複数のシナリオに基づいた「予測の幅」についての確認が大切になってきます。「最大でここまで上振れする」「最悪ここまで下振れする」といったように、リスクの幅をあらかじめ把握しておけば、もし電力が不足した場合や余剰時に、余裕を持った対応が可能になります。
物理モデルは、太陽の位置や待機中の光の散乱、パネルの傾斜角、変換効率など「物理的な法則・数式」に基づいて発電量の計算を行う手法です。新規の発電所のようにこれまでの発電実績データが蓄積されていないケースでも、初日からある程度正確なベースライン予測を出すことができます。ただし、「局地的に霧が発生した」「複雑な地形による不規則な影の影響」など、数値化を行いにくい現場の特殊要因を捉えるのは苦手としています。
AI・機械学習では、過去の膨大が気象データと過去の発電実績の「関係性」について自動で学習を行います。そのため、「この時期・この気象パターンであれば、この発電所はこれくらい出力が落ちる」という、現場特有の特徴について高精度での補足が可能となります。ただ、学習の質はデータ量に依存するため、運用を開始してすぐの時期や、過去に発生したことがない異常気象に直面した場合には、予測精度が一時的に低下するという面もあります。
現在使用されている高度な予測サービスでは、物理モデルとAIを掛け合わせた上で、さらに直近の実績データをリアルタイムでフィードバックする手法が用いられています。例えば、「AIの予測では晴れだったものの、現在はメーターの値が急に減少している」といった実績データを受信した場合には、システムでは数十分後の予測時を修正する、といった対応が可能になります。このように実績値とのリアルタイムな連携が、予測精度向上の鍵となっています。
アグリゲーターや小売電気事業者では、自社が管理している発電所の計画値と、実際の発電量の差が出ると、ペナルティ(インバランス料金)が発生します。もし発電量のリアルタイム予測を用いて数時間先の発電量低下を早めに把握できれば、あらかじめ時間前市場にて不足する分の電力を調達する、他の需要家に対して節電要請を行うといった対応を行えます。
商業施設や工場などに太陽光発電を導入している企業では、リアルタイム予測で「今日の午後は発電量が大きくなる」という点を把握できた場合、電力消費が激しい生産ラインの稼働を午後にシフトさせるなど、太陽光発電で作った電気を無駄にしないための臨機応変な対応が可能になります。このように、発電した電力について自家消費率が向上することにより、電力会社からの電気の購入量を減らし、電気代とCO2排出量の削減に繋げられます。
予測データをエネルギーマネジメントシステム(EMS)と連携させるという運用になります。例として、EMSが「30分後に太陽光の出力が急に減少する」といった予測データを受信すると、併設された蓄電池からの放電を開始する、空調の設定温度を緩和するといったように需要を抑えるための対応を行えます。このように、人間の手による操作を介さずに、発電量予測に基づく設備の自律的な制御が行えます。
発電量のリアルタイム予測は、単に「現在の発電状況の監視」ではなく、気象データやAI、直近の実績値を組み合わせることによって、数十分後から数時間先の出力を高精度に見通せる技術です。30分単位で予測データを更新していくと、インバランス料金の回避や自家消費率の最大化、蓄電池や空調の自動制御などを行えるようになります。システムの導入を検討する場合には、予測精度のみではなく、どれほどの頻度で実績データが反映されるか、そして自社の制御システム(EMS)と連携ができるかを確認する、という点が重要なポイントとなります。
電力需要予測システムは、さまざまな場面で活用されるものです。ここでは「小売電気事業者向け」「工場向け」「スマートハウス・スマートビル向け」と業種ごとにおすすめの電力需要予測システムを紹介しています。

電力売買を効果的に行える
電力業務特化型の電力需要予測システム。自動で再学習を行うAIモデルの高精度な予測により、電力売買の効果的なタイミングが図れる。
インバランスコストを削減
短時間での予測が可能なため、一日前入札当日の新鮮なデータを反映させた高精度の予測実施。より正確な予測でインバランスコストを効果的に削減可能。

自動でピークカットを実施
工場向け電力需要予測システムZEBLAで、設備の電力消費データを監視・分析。電力使用の無駄や異常を検知し、自動でピークカットが行える。
生産計画に影響しない節電
電力不足時は重要度の低い機器を間引き、さらに不足すれば発電機を稼働するため、生産計画に影響することなく電力平準化を図ることが可能。

効率的な再エネの需給管理
全国の気象観測網を活用した電力需要・発電量予測を提供。太陽光・風力発電の変動を精度高く把握可能なため、再生可能エネルギーの需給管理を調整できる。
電力不足のリスクを低減
気象による予測誤差を抑えることで、スマートハウス・ビルにおける電力不足のリスクを低減。また、自家消費・売電など余剰電力を適切なタイミングで活用可能になる。