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FIP制度におけるインバランスとは

FIP制度におけるインバランスとは?回避が必要な理由

インバランスとは計画値と実績値に差が出ること

「インバランス」とは、事業者が事前に提出している発電計画値と、実際の発電実績値との間で生じた差分のことです。電力系統には、需要と供給を一致させる「同時同量」の原則があるため、もし差分が生じた場合には一般送配電事業者が調整力を稼働させて過不足を補います。この時の補填にかかる費用を精算する仕組みを「インバランス精算」です。太陽光や風力などの再エネは天候によって出力変動が生じやすく、計画値と実績値を完全に一致させるのが難しいため、FIPにおいてはこの差分をできるかぎり小さくすることが運用の基本となります。

FIPでは発電事業者にインバランスリスクが発生する

FIP制度では、発電事業者自身が発電計画の提出とインバランス精算の責任を負う形になります。もし計画値と実績値に差が生じた場合には、事業者はペナルティとしてインバランス料金を支払う必要があり、直接的な収益の悪化を招く可能性があります。そのため、発電予測の精度を向上や蓄電池の活用を行うなどの方法で、インバランスを抑制・回避する仕組みの構築を行うことが重要です。

FIT制度ではインバランス負担が抑えられていた

再エネ事業者は、FIT制度において市場取引や計画同時同量を厳しく求められておらず、インバランス負担が実質的に小さく抑えられていました。特にFIT制度ではインバランス特例があり、発電事業者は事前に提出した発電量の計画値と実績の誤差が発生した場合にも、負担をほとんど負わずに済んでいました。しかしFIPへの移行に伴い、インバランスに伴う調整コストを発電事業者自身が負担することになるため、インバランス管理の重要性が大きくなっています。

FIPでインバランスが発生しやすい主な原因

天候によって発電量が変動しやすい

FIPの対象となる太陽光や風力は、天候の影響が大きく、発電量が変動しやすい点が特徴です。晴れている時間帯は出力が増えますし、曇りや雨、風が弱まっている場合には発電量が落ちることから、事前に提出している計画と実績の間に差異が発生しやすくなります。この不確実性が、インバランスが発生する主な要因であるといえます。特に太陽光の場合には、日射量の変化が出力に直結するため、短時間での変動も大きい点に注意が必要です。

発電量予測の精度

インバランスが発生しやすい要因として、発電量予測の限界が挙げられます。現在は、AIを用いた高精度な気象予測が導入されているものの、局地的な雲の動きや突風といった状況を完全に予測することは困難であるといえます。

そのほか、設備の突発的なトラブルもインバランスが発生する原因となり得ます。例えば太陽光パネルの経年劣化や汚れ、機器の停止といった状況も、実績値を下げることにつながり、計画とのずれを生み出します。

出力制御の影響

例えば電力需要に対し再エネの発電量が過剰になる春や秋などは、全体の需給バランスを保つために発電の抑制が求められるケースがあります。この出力制御指令のスケジュールを事前の発電計画に組み込めていない場合は、事前に提出している計画値と実績値に差が生まれることになります。

FIPのインバランスリスクを回避・軽減する方法

蓄電池を併設して発電量のズレを調整する

蓄電池の併設を行うと、発電量が多い時間帯に充電を行い、発電量が少ない時間帯に放電することによって、計画値と実績値の差を吸収しやすくなります。また市場の電力価格が安い時間帯に電力をため、電力価格が高騰する時間帯には放電して売電を行う供給シフトを行うことも可能です。このような対応により、インバランスリスクの回避や軽減に繋げられるとともに、売電収益の向上も期待できます。

発電量予測システムを活用して計画精度を高める

高精度な発電量予測システムの導入を行うことによって天候の変動によるずれを見込みやすくなるため、より精度の高い計画の作成が可能になります。気象データや局地的な日射量、過去の発電実績などを解析することによって、高精度な発電計画の作成・補正につながり、予測誤差を小さくできます。

アグリゲーターに需給管理を委託する

自社で需給管理を行うのが難しい場合には、専門的なノウハウを持つアグリゲーターに委託する選択肢もあります。アグリゲーターでは、高精度の発電計画や市場取引を代行するため、実務に関する負荷を軽減できるなどのメリットも得られます。

またアグリゲーターは複数の発電所を束ねていることから、天候による発電量のズレを互いに相殺できる点が大きなメリットです。以上から、単独の発電所で運用するよりアグリゲーターに需給管理を委託することで、インバランスの発生率を引き下げることに繋げられます。

自家消費型太陽光に切り替える

インバランス管理や市場価格変動のリスクを根本から排除したいと考える場合には、発電した電気を売電せずに自社で使用する「自家消費型」に切り替える選択肢も考えられます。自家消費の場合には、FIP制度における計画値の提出やインバランス精算の義務が発生しません。特に電気代が高騰している昨今では、不安定な売電収入を狙うよりも買電量を減らして電気代を削減する方が、結果としてメリットが大きくなるケースもあります。

FIT制度の継続や発電所売却も選択肢に入れる

FIT制度を継続して安定した固定収益を維持するという選択肢も考えられます。また、需給管理体制の構築や蓄電池の追加投資が負担になる場合には、発電所を売却してリスクを切り離す方法も考えられます。この部分については、自社の状況に合わせた判断がポイントとなります。

蓄電池によるインバランス対策のメリットと注意点

余剰電力を蓄えて不足時に放電できる

蓄電池は余った電力をため、不足時に放電できる点が特徴です。この特徴を活かして、計画値と実績値の間で発生した差異をならすことが可能です。太陽光などは天候の影響によって急に出力が変わりますが、蓄電池を利用することで計画値からのずれを吸収しやすくなります。その結果、インバランスの発生を抑えやすくなり、FIP運用に役立てられます。

市場価格が高い時間帯に売電しやすくなる

電気が安い時間帯は充電を行い、電気が高い時間帯には放電を行うと、売電のタイミングをずらせます。このことにより、価格が上がる夕方や需給がひっ迫する時間に電力を出しやすくなるため、収益機会を増やせるというメリットが期待できます。

導入費用と運用制御の設計が重要になる

上記の通り、蓄電池はインバランス対策を行う上で有効ですが、導入費用が高く運用設計が不十分な場合には投資回収が難しくなる可能性もあります。また充電や放電を無計画に繰り返していると、電池が劣化するスピードが早まります。この点から、インバランスの回避によるペナルティの削減額や、市場取引による売電収益、電池の劣化コストなど様々な面を考慮しながら、蓄電池の導入について検討することが大切です。

FIP移行前に確認すべきインバランス対策のポイント

発電所の規模や発電特性を確認する

移行前には、所有している発電所の規模や数、電源種別による発電特性の把握が欠かせません。これは、電源により出力の変動幅や気象予測の難易度が異なるため、インバランスリスクが大きく変わってくるためです。規模が大きければ自社での調整がしやすいものの、小規模な場合には誤差の吸収が難しくなりますので、蓄電池の併用や外部委託を行うという選択肢を検討する必要が出てきます。

予測・制御・運用を自社で担えるか判断する

FIPにおいては、発電計画の作成や予測の修正、出力制御への対応、インバランス精算といったように、さまざまな対応が求められます。もし自社に予測技術や需要管理を行えるリソースがない、監視システムといった体制が用意できないといった場合には、自社で行おうとすると運用関連の負荷が非常に大きくなります。

以上から自社のリソースを客観的に評価し、自社で対応ができるのか、専門的なノウハウを持つアグリゲーターに委託をするのかを見極めることが求められます。

蓄電池や外部委託の費用対効果を試算する

蓄電池の導入や外部への委託はインバランス対策として有効であるといえますが、事前に費用対効果をシビアに試算することが不可欠です。蓄電池は初期投資が高額になる傾向がある点に加えて経年劣化のリスクもあります。また、委託を行う場合でも、手数料率と委託することによる収益向上効果を比較します。

このように、費用対効果を事前に試算した上で、蓄電池や外部委託を利用するのかを検討してください。

収益性だけでなくリスク許容度も確認する

FIPへ移行した場合、市場連動により収益向上の可能性がある反面、価格変動やインバランスリスクも増加する面もあります。この点から、期待できる収益のみで判断するのではなく、どの程度の収益変動や損失を許容できるかあらかじめ確認しておくことが大切です。

FIPのインバランス回避は事前の運用設計が重要

FIPにおいてインバランスを回避するには、事前に精密な運用設計を行うことが欠かせません。太陽光や風力などの再エネは天候による影響で出力変動が大きくなり、計画値とのずれが発生しやすいため、ペナルティ料金の発生により収益悪化を招きます。そのため、高精度な発電予測システムの導入や、蓄電池の導入、外部委託など、自社の設備と運用体制に合わせた対応を事前に設計しておくことが重要であるといえます。

電力管理を効率化する
業種別電力需要予測システム3選

電力需要予測システムは、さまざまな場面で活用されるものです。ここでは「小売電気事業者向け」「工場向け」「スマートハウス・スマートビル向け」と業種ごとにおすすめの電力需要予測システムを紹介しています。

小売電気事業者向け
一日前市場当日の予測で
インバランスコストを削減
富士通鹿児島
インフォネット
富士通鹿児島インフォネット公式HP
引用元:富士通鹿児島インフォネット公式HP
(https://global.fujitsu/ja-jp/subsidiaries/kfn/services/list/demandforecast)
小売電気事業者向けの
導入メリット

電力売買を効果的に行える

電力業務特化型の電力需要予測システム。自動で再学習を行うAIモデルの高精度な予測により、電力売買の効果的なタイミングが図れる。

インバランスコストを削減

短時間での予測が可能なため、一日前入札当日の新鮮なデータを反映させた高精度の予測実施。より正確な予測でインバランスコストを効果的に削減可能。

工場向け
製造現場の生産計画と
連動し電力コストを削減
富士電機
富士電機公式HP
引用元:富士電機公式HP
(https://www.fujielectric.co.jp/about/example/detail/solution_power_prediction_system.html)
工場に
向いているポイント

自動でピークカットを実施

工場向け電力需要予測システムZEBLAで、設備の電力消費データを監視・分析。電力使用の無駄や異常を検知し、自動でピークカットが行える。

生産計画に影響しない節電

電力不足時は重要度の低い機器を間引き、さらに不足すれば発電機を稼働するため、生産計画に影響することなく電力平準化を図ることが可能。

スマートハウス・
スマートビル向け
蓄電の活用と電力管理
気象データで支援
ウェザーニューズ
ウェザーニューズ公式HP
     
引用元:ウェザーニューズ公式HP
(https://wxtech.weathernews.com/industries/energy/)
スマートハウス・ビルに
向いているポイント

効率的な再エネの需給管理

全国の気象観測網を活用した電力需要・発電量予測を提供。太陽光・風力発電の変動を精度高く把握可能なため、再生可能エネルギーの需給管理を調整できる。

電力不足のリスクを低減

気象による予測誤差を抑えることで、スマートハウス・ビルにおける電力不足のリスクを低減。また、自家消費・売電など余剰電力を適切なタイミングで活用可能になる。