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2026年3月14日の受渡分から、需給調整市場の取引が大きく変わりました。それまで週に一度まとめて取引していた調整力が、前日に翌日分を取引する「前日取引」へと全面的に移行したのです。
移行からおよそ半年が経ち、需給管理の現場では前日取引の流れが日常になりつつあります。予測の断面が実需給に近づいたことで、これまでよりも新鮮な情報をもとに応札できるようになった一方、前日の限られた時間で予測から応札までを仕上げる必要が生まれました。
この記事では、需給調整市場の前日取引化で具体的に何が変わったのかを整理し、需給管理業務にどのような影響があったのかを振り返ります。
需給調整市場は、電力の周波数を安定させるために必要な「調整力」を、送配電事業者(TSO)が全国大で調達するための市場です。実際の需要は刻一刻と変動するため、その変動に合わせて出力を上げ下げできる電源や蓄電池などの調整力が欠かせません。
調整力は応動の速さなどによって、一次調整力から三次調整力までの区分に分かれています。これらを市場を通じて競争的に調達することで、調整力のコストを抑えながら電力の安定供給を保つしくみになっています。
前日取引化の前は、一次〜三次調整力①は「週間商品」として、実需給の前の週にまとめて取引されていました。つまり、実際に電気を使う1週間ほど前の予測にもとづいて、必要な調整力の量を決めて応札していたことになります。
1週間前の予測は、当然ながら前日の予測よりも精度が落ちます。予測が不確かな分、余裕を見て確保量を多めに見積もりやすく、結果として調達量が過大になりやすいという課題が指摘されていました。
2026年3月13日の取引(3月14日受渡分)から、一次調整力・二次調整力①・三次調整力①、および複数の要件を同時に満たす複合商品が、前日に翌日分を取引する前日取引へ全面的に移行しました。これにあわせて、従来の週間商品は廃止されています。
取引の断面が実需給の前日へと近づいたことで、より新しい需要・発電の見通しをもとに、必要な調整力を過不足なく調達しやすくなりました。
前日取引化にあわせて、調達量の考え方も見直されました。従来は商品によって基準が異なっていましたが、全商品で「最大1σ相当」に統一されています。予測の断面が前日へと近づき、確保すべき量をより実態に即して見積もれるようになったことが背景にあります。
これにより、一次調整力・二次調整力①のように従来の基準が大きかった商品では調達量が絞られる一方、複合商品のように扱いが変わる商品もあり、市場全体の調達構造が変化しました。
取引ルールの見直しにあわせて、需給調整市場の上限価格も15円/kWhへと設定されました。調達量の統一とあわせて、市場価格の形成にも影響する変更点です。
前日取引化の最大の変化は、予測の鮮度が上がった代わりに、前日の予測精度がそのまま調達の成否に直結するようになったことです。1週間前ではなく前日の情報で応札できるため、精度の高い予測ができれば、必要な調整力を過不足なく、有利な条件で確保しやすくなりました。
一方で、前日の限られた時間のなかで、需要予測・発電予測をまとめ、応札の判断までを終える必要があります。予測から応札までの一連の流れを、毎日安定して回せる体制が求められるようになりました。
調整力の取引が前日断面へ移ったことで、卸電力のスポット市場や時間前市場での取引と、時間軸をそろえて考えやすくなりました。前日の需要予測を起点に、スポット市場での調達、調整力の応札、当日の時間前市場での微調整までを一つの流れとして設計することが、コスト最適化のうえで重要になります。
週に一度の応札から、毎日の前日応札へと切り替わったことで、需給管理業務の日々の負荷は高まりました。前日の決まった時間までに予測と応札を終える運用が毎日続くため、特定の担当者に業務が集中すると、属人化や業務継続のリスクにつながりやすくなります。
予測値の算出や計画作成を自動化し、担当者が例外対応や判断に集中できる体制を整えておくことが、前日取引時代の需給管理では欠かせません。
2026年3月14日受渡分から、需給調整市場は一次〜三次調整力①と複合商品が前日取引へ全面移行し、週間商品は廃止されました。あわせて調達量の基準が1σ相当に統一され、上限価格も15円/kWhへ見直されています。
取引の断面が実需給に近づいたことで、前日の需要予測・発電予測の精度が、調整力の調達コストと入札の機会をそのまま左右するようになりました。予測が新鮮になった分、その精度を毎日安定して出し続けられるかが問われます。
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